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書肆萬年床 光画資料室

写真史や撮影行為にまつわるあれこれ、またはカメラ等についてよしなしごとを放り込む納戸

入門機クラス銀塩AF一眼レフシリーズのお勧め度の比較 その2「Nikon Uシリーズ」

作例


Nikon U2 + SIGMA 28-70mmD f2.8-4 + KODAK BW400CN
再掲。BW400CNも無くなってしまいました。

こんな感じでやってます

この記事を書くに当たっての基本姿勢についてはこちらをご覧ください。
また、「いまからフィルムで撮ってみたいという人にEOS Kiss シリーズ(具体的にはIII / III L)をお勧めする5の理由」もご一読いただければ。

入門機クラス銀塩AF一眼レフシリーズのお勧め度の比較

裏タイトル「EOS Kissシリーズ以外が初心者にお勧めでないちょっとした理由」の続編です。各社の登場順は私が巡回しているハードオフや委託販売を行っているDPEでの目撃数によります。というわけでこの記事での2番手、お勧めのEOS Kissから数えれば3番手はNikon Uシリーズです。

Nikonの35mmフィルムを使った一眼レフは"F"を冠します(APSフィルム一眼レフはPRONEA)。実際、Uシリーズも海外ではFシリーズとしてナンバリングされます。国内ではCanon KissやMINOLTA Sweetと同カテゴリーであることを明示するシリーズ名を名乗った訳です(実は、α SweetやEOS Kissも、海外では別名義で販売されています)が、この「U」というネーミングは、"「遊び」「優しさ」「友だち」「みんな誘って」そして「With You」などのいろいろな「U」にちなんだ親しみを込めたネーミング"なのだそうです。さて、その狙いは達成されたといえるのでしょうか。

2番手 Nikon U シリーズのお勧め度
このムックからするとU、Us、F80までが同じカテゴリと言えるのでしょうか(なおこのムックの出版時点でU2は出ていません)。

ニコンU・Us・F80の使い方

ニコンU・Us・F80の使い方

  現代一般的な操作性
  充実したスペック
  洗練されたデザイン(Us以降)
  狭く見難いファインダ
 × 弾数少(特にUs以降)
 × 価格高め
 × 格安レンズは見つけづらい
 × 普遍"ではない"Fマウント

○ 現代一般的な操作性
左肩のモードダイヤル主体の現代一般的な操作性です。マニュアル無しでも現在のデジタル一眼レフのどれかを触ったことがある人なら迷うことはないでしょう。Pモードまたはモードダイヤルでガンガン撮れます。

○ 充実したスペック
前回ミノルタαシリーズの項でも述べましたが、この時代の普及機はもう機能てんこ盛りです。それがモードダイヤルという分かり易く共通の操作性に収斂しているのがスゴいのです。あえて言うなら不満はシャッタースピードくらいのものでしょうか。それでも1/2000で困る人は、これも前回書いたとおり、今や格安で売ってるプロ機を買ったほうが幸せになれます。だとしてもUシリーズは軽快なサブ機として十二分に働いてくれるでしょうから無駄になりませんよ!

○ 洗練されたデザイン
UシリーズはU、Us、U2の三機種のみです。全て筐体デザインが違い、特に初代とUsの間で大きな変更がありました。初代のUは平成13年度のグッドデザイン大賞を受賞していますが、本体のみでは微妙に感じます。しかし、共通のデザインでセット販売されたズームレンズを付けるとかなり印象が良くなります。

Nikon U(Sliver) + AF Zoom Nikkor 28-80mm/F3.3-5.6G(Silver)

Nikon Us(Sliver) + AF Zoom Nikkor 28-80mm/F3.3-5.6G(Silver)

Nikon U2(Silver) + AF Zoom Nikkor 28-100/3.5-5.6 G(Silver)

Nikon U2(Black) + AF Zoom Nikkor 28-80mm/F3.3-5.6D(Black)

このシリーズは特に合わせるレンズで印象が変わるように思います。

Nikon U2(Black) + SIGMA 28-70/2.8-4 D

Nikon U2(Silver) +AF NIKKOR 35-70/3.3-4.5

個人的にはUsやU2のシルバーボディにAi Nikkor 45mm F2.8Pのシルバーをフード付きで合わせたりするとグッときそうです(この記事の狙いからは逸れてしまうお値段になりますが)。

Nikon AI 45 F2.8P ブラック

Nikon AI 45 F2.8P ブラック

Uシリーズのデザインではしっかりホールドできるグリップが好印象です。ただ、見た目の重厚感に対して極端に軽いのでそのアンバランスさに不安になる人もいるかもしれません。もちろん、この軽快さには持ち歩くにあたって全く負担を感じさせないというメリットがあります。
U、U2のボディ側マウント金具にエンジニアリングプラスチックではなく金属を使ったというのはメーカーのこだわりとして評価する向きがありますが、これについてはどうかな?と思います

全体の剛性とか他の部品の耐久性を考えないと無意味かなと。例えば次の記事であつかうペンタックスはプラ製ギアの破損という持病を抱えています。まさかこのボディに超重量の望遠レンズを付けるというのはメーカーが明確に打ち出していた購買層からも外れているでしょうしそれで強度云々をするのはどうかと。ちなみに私がこの三機種の中で一番好きなのはUsです

△ 狭く見難いファインダー(デジ普及帯APS-C機並)
私は自分が撮影するカメラとしてはUシリーズが苦手なのですが、その一番の理由がこの、倍率が最大で0.67倍という、APS-C機並の狭さのファインダです。しかもU2では、そのただでさえ狭いファインダ内でAF合焦のスーパーインポーズが派手に赤く発光します(派手すぎてどこが合焦点か分かりづらいほど)。正直、ちょっと困ります。せめてこれが目に優しいグリーンならば(キャノンと被りますかね?)。

AFが一般化し、ファインダーは構図の確認さえ出来ればよく、合焦はカメラに任せるという発想を突き詰めるとこのファインダーになるのかな、と。

実際、手動でのフォーカシングには私は0.8倍は欲しいところなのですが、逆に瞬間的に構図全体を把握するのは難しくなります。そういう意味で0.7倍程度の倍率は一瞬で全体を把握するには悪くない倍率なのです。さすがにUシリーズのは小さすぎると思いますが、信頼性の高いAF任せでガンガンシャッターを切っていく速写性を求めるならこれもありだとは言えます。

さらに視野率も89%と、視界の周囲一回りに余白が生まれることを把握しておく必要があるわけで、レンジファインダーやコンパクト機ならともかく、一眼レフでこれはなぁ、と思います。
しかしこの点も別の角度から考えれば、ターゲットのファミリー層が基本的にL版にプリントしたであろうと考えられるので、フィルム上の撮影範囲と実際のプリントとのズレを考慮して、あえてファインダー像を狭く抑えておいたという深謀遠慮があるとも考えられなくはないのです。
少々好意的解釈が過ぎるでしょうか(笑)。

× 弾数少(特にUs以降)/価格高め
ハードオフのジャンクコーナーでUシリーズを見ることはまずありません。まだF三桁(401・601辺り)の方が見かけます。しかし、初代のUまでならカメラ委託をしているDPEでは見かけることもあります。そう考えるとUシリーズはメーカーの想定したファミリー層ではなく従来のニコンユーザーのサブ機として売れたのではないでしょうか

そんなわけで委託品はもちろんのことジャンクコーナーでも決して安くはありません。例え一台見つかっても値段の設定は高めであり、さらに代替機まで入手することは難しいです。あえて狙うならヤフオクである程度機材がまとまった状態を落札するか、専門店の在庫を狙った方がよいでしょう。この時代の普及帯AF一眼レフにはまともな値段がつかないのでかえってヤフオクあたりより安く出ていることもあります。もちろん専門店のチェックを経ているので安心感はずっと上です。

× 格安レンズはほぼ無い/普遍"ではない"Fマウント
Fマウントレンズは人気ですから比較的安価なシグマやタムロンの標準ズームであってもそこそこ高めの値付けです。もちろんジャンクコーナーですから値段もたかが知れてはいますが、なにせすぐに売れてしまうので在庫が潤沢とはいかないようです(もちろんDPEや専門店には潤沢にありますが、値段は更に高く(真っ当)になります)。

そしてNikonについて語られる「不変のFマウント」というのは相当留保を付けないといけない表現だと思っています。物理的には確かに装着できますが、特にMF時代のレンズは実際の使用にあたっては大幅な制限があります。初心者にとっては分かりづらく、システムを"安価に"充実させていくにあたっては少々おすすめしにくいところです。もちろんこの辺りを調べるのが好きという方にとっては何ら問題にならないところで、むしろ知識を広げていく手がかりになる可能性もありますが、この記事の狙いからははずれます。

なお、標準ズームとしてセット売りされたAF Zoom Nikkor 28-80mm/F3.3-5.6GやAF Zoom Nikkor 28-100/3.5-5.6Gは本気で使っている人には隠れた名玉としてなかなか評判が良いようです。先ほども来たとおりデザイン的な一体感は高く、Fマウントのレンズとしては比較的安価に流通しています。世界で170万本以上売れたという記述を見て目が点になりましたが、Uシリーズもそれくらいは売れたのかしらん…

総論
流通量が少なく見えるのはむしろハードオフ等に放流する層ではないところに届いてた、と考えるべきなのかもしれません。本体と標準ズームのセットなどの出物が安価にあれば、個体としての弱点は特に聞きませんから、気に入ったら選択肢とするのはありでしょう。気に入る人にはなかなかの訴求力があるようで、前にも書いた通りある若者は当時私の手元に一台だけだったU2をもぎ取っていきました。このクラスのカメラ・レンズとも、そもそもどれも安いのであって、高いといってもしょせん大学生の飲み会一回分なので、使ってみたいと思ったら即座に試してみて、駄目なら駄目で良い経験をした!と思ってまた別の人にプレゼントというのもありではないかと思います。
それにしても、その時点ではもうU2を買うことはないのだろうなぁと思っていたのが、U、Us、U2×2と揃ってきているからふしぎなものです。
実は以前にもこのブログでU2については少し書いていまして、今回の記事はその焼き直しめいた部分はあります。

個人的にネックとなるファインダーの視界の狭さですが、いまなら適合するマグニファイヤーが純正からサードパーティまで単機能のものから多機能なものまでいくつか選択可能で、本気で使おうとすれば2016年だからこその可能性はこのカメラの前にも様々に開けているように思われます

今回はちょっと書きすぎました。次のペンタックスMZシリーズは短くいきます。