カメラと写真家の出会いについて
いや、つらつらと鑑みるにですね。
そのカメラが名機になるかどうかって、そのカメラを名機にした写真家のエピソードと不可分だなぁと思うところがあって…
ぱっと思いつくところでは
もちろんライカとかなるとそりゃもう木村伊兵衛とかブレッソンとかリストがいつまでも終わらないわけですけれども。
最近興味を持っているところではこの組み合わせ。
なんでこの組み合わせだけ順番が逆かというと、増山たづ子ばあちゃんは、このピッカリコニカと出会ってはじめて写真家となったからです。
もちろん、ご本人は写真家となるつもりはなかったんですけど、故郷がダムの底に沈むという状況でなんとか自分の故郷を記録に残したいという衝動とカメラの幸福な出会いとその営みが、一人の写真家をうみ、一つのカメラを伝説の名機(さすがに言い過ぎ?わたしこの手のゾーンフォーカスカメラとか写ルンですってのは撮るってことへの思想の精華だと思っているんです)としたわけです。
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どうなんでしょうね。今のデジカメをたづ子ばあちゃんに渡して、果たしてたづ子ばあちゃんは写真家になれたかどうか…
デジタル時代のそういう組み合わせとしては
くらいしか思いつかないんだけど、GR DIGITALってのはこの万能カメラの時代にストイックになにを撮るのかってのが明確なカメラで、カメラは何でもはやってくれないわけです。
なんでもはやってくれないからこそ、撮る側からの歩み寄りが必要で、それを使いこなした!って時には肌身離せない、肉体の一部になっているわけです。
いまのスマホの一機能にさえなってしまった撮影機能ってのはスゴいことなんですけれど、でもそれでばっかり撮っててもなーって思うんですちょっとばっかり。
フィルムのAF一眼レフと写真家の結びつきというのが思いつかないのは、当時としてはあまりに簡単に撮れすぎて、上位機種が出てきたら乗り換えるモノでしかなかったからでしょうね。それはそれでスゴいことなんですが。
いや、ファインダーが、質感が、巻き上げが…ってことは選択の対象にならなくなった。ならなくなったってことはないにしろ、交換可能なものになった。壊れたらそもそも修理のしようがないわけです。
でもかえって、いま、フィルム後期のプラ製一眼レフなんてのを選ぶってのは、あきらかに困難を引き受けているわけで、ひょっとしたら2000年前後のこの世代のカメラたちを名機にする写真家たちはこれから生まれてくるんじゃないかなんてアリもしないだろうことを書き付けてみる年の瀬だったり。
んっがぐっぐ。