書肆萬年床 光画資料室

写真史や撮影行為にまつわるあれこれ、またはカメラ等についてよしなしごとを放り込む納戸

MINOLTA α-Sweet その1 / MINOLTA AF ZOOM 35-70mm F4.0 + KODAK UltraMax 400


MINOLTA α-Sweet + MINOLTA AF ZOOM 35-70mm F4.0 + KODAK UltraMax 400

プリントからのスキャンなので一段も二段も眠い描写なのはご容赦を。この休みでフィルムからのスキャンの環境を整えるはずが、その原資はPEN FTに化けました

ま、フィルムからスキャンしたところでなにを撮ってんだかまるでわからない阿呆な写真でフィルムを浪費しているばかりなのはいつもどおりなのですが…といった感じであまりにあんまりな記事が続いているので、少しまじめにこのブログの本道をですね。

使用フィルムのULTRAMAX400は別に描写自体は気に入っているわけではないのに、なぜか使い続けていた不思議。使い慣れているからこそ、写りが予想の範疇なので安心できたというのはあります。ただ、ひたすら入手しやすいという条件も失われてしまった以上、これからどれを使い続けるかはあらためて考えるべきときにきたのかもしれません。いっそ富士の業務用フィルムに手を出してみるべきなのかどうか。というかBW400CNも失われる以上、ポジフィルムに挑戦すべきなのかどうか。でも、わざわざポジで撮るべき対象を狙ってないのよね…

さて、どんなフォーマットで語っていくのが良いかを探りながらやっていこうかと思います。

  • MINOLTA α-Sweet その1

  • 機種名
    • MINOLTA α Sweet
  • 発売日
    • 1998年4月発売(ブラック1999年 6月)
  • 発売時標準価格
    • 標準ズームレンズセット 84,000円〜92,000円(ボディ単体67,000円)
  • 機種登場の背景
    • レンジファインダーから一眼レフ、AE…新しい機能が実現するたびについて行けなかったカメラメーカーの淘汰が進み、このカメラ登場の時点で残っていたのはごく限られたメーカーだけです。いまでは当たり前すぎてかえって意識されないぐらいの自動合焦(AF)機能ですが、これを一眼レフで実用化してカメラの歴史に新たな地平を切り開いたのがMINOLTAでした。しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いだったミノルタの栄光は、ハネウェル社との訴訟に破れ莫大な和解金を支払うことになったあたりから陰りを見せ始めます。Canon,Nikonという現在の二大メーカーの圧倒的な攻勢により、ミノルタのαシリーズは苦しい戦いを強いられていきます(って、この辺は印象論なのでもう少し詰めないとだめだなぁ)。
  • デザイン性・質感 ① ネーミングセンス
    • 名前にSweetとついているあたりにこのカメラがファミリー層を狙ったものであることが如実に現れていて、これが「ママさん一眼レフ」といわれた一群に属するカメラであることをアピールしていますが、これは販売部の戦略によるもので、開発部はSweetというネーミングを聞いてのけぞったというのが逸話として伝わっています。あくまでαシリーズの入門機としてのナンバリングが与えられるはずだったカメラと思って良いでしょう。
    • ただ初代Sweetにはデザイン的にもチャーミングで、Sweetのネーミングがには嫌みではなく「ああ、確かに」とストンと納得できるものがあります。
    • 個人的にはCanonのEOS Kissの名称には少なくとも三代目あたりまではしっくりこないものを感じます。デザイン的にもどうにも上位のEOSシリーズとの無理矢理な差別化、廉価版という風合いを抜け出せず、今見ると野暮ったさがぬぐえません。しかし、Sweetは初代からそのデザインとコンセプトが高度にプロダクトとして昇華されているように思います。
    • 現行のデジタル一眼レフの間に並べても、充分に独自の存在感を発揮できるデザインでは無いでしょうか。
  • デザイン性・質感 ② デザイン性・ホールド感
    • コンパクトに丸っこくまとまったデザインで、細かくシボの入ったラバー素材に覆われた太めのグリップは大変握りやすくしっかりとホールドさせてくれてます。後継機のSweetIIではよりタイトなデザインになり、それはそれで凝縮感が有っていいのですが、グリップのホールド感では初代が上です(どちらも良い、という前提での話での比較です)。Sweetのラインとナンバリングラインの路線が合流した最終機α-70で採用されたのは初代路線の太めのグリップをベースに改良されたものでした。
    • SweetIIが、どこがSweetだ!むしろ"Bitter"だろってぐらい寄らば切る!的な先鋭度を増したカメラだったことを思えば、真にSweetなのはこの初代機とその廉価版Sだけだったのかもしれません。
    • 余談ですが、洗練されたデザインのボディだからこそ、80年代的なデザインのレンズがよく似合うというか。この組み合わせはお気に入りです。というか、凄いデザインのレンズよな…最近の消耗品前提のレンズデザインにもこれくらいのセンスが欲しいって、コシナが作ってるZEISSブランドとか王者ライカはしっかりしているから、コストの問題か…って、いやいや、このレンズは普及帯の標準ズームだからして!(評判はいいみたい)


  • 使用感① 操作性・機動性(動作速度)
    • 他社と比較ばかりするのもあれですが、EOS Kissの三代目はSweetよりあとの登場であるものの、販売戦略的なものもあるのでしょうが現在では実用には少々厳しいスペックというのが本音です(ただそれをゆったり楽しむ、というスタンスはアリです。もちろん写真は良いものが撮れます)。しかしSweetにはまったくそんな心配は不要で、大変軽快動作で信頼できる相棒としてつきあってくれます。
    • ファンクション(機能設定)ボタンとダイヤルとの組み合わせによる設定/操作は説明書の存在を前提にしていますので、MF時代の機械式カメラの明快さと比較すれば、初期設定に限ってはやりやすいとはいえません。ただ、現在のような(説明さえディスプレイ内に表示される)大型高精細カラー液晶ディスプレイが標準装備となる以前のカメラとしてはオペレーションはかなり整理されていますし、デジカメではないので設定ポイントも限られています。初期設定さえ終えてしまえば操作するのはAEのモードぐらいなので撮ることに集中できます。

    • そして、今は無きMinoltaのカメラのサポートはケンコー・トキナーに(SONYではなく!)引き継がれて、大部分の機種のマニュアルはネットでダウンロードできるんですな、これが。もし本当に気に入ったあと不調になっても安心です(私も修理をお願いしたことがあります)。こういうことをしてくれるブランドのカメラは使っていきたくなるじゃありませんか!
  • 使用感② ファインダー
    • APSサイズの普及帯デジタル一眼レフのファインダーに辟易していたときにジャンクコーナーに転がっていたSweetのファインダーを覗いたときには目を見張りました。あれだけバカにされてたママさん一眼レフのファインダーがどうしてこんなにイイ!のか、と。
    • アキュートマットスクリーンに写し出される像は美しく、ピントの山もつかみやすいので安価なジャンクレベルのマクロレンズでもMF操作が楽しい。ファインダーを通すことで対象を切り取る/発見することの意味を思い出させてくれます。
    • もちろん、どれも上級機種に比較すればもっとスゴいのなんていくらでもあるんですが、比較対象は現行の普及帯APSサイズ一眼レフのただの穴でしか無いファインダー(あれをファインダーと呼ぶことすら…)で充分でしょう。
    • 倍率0.75倍、視野率約80%(縦90%×横90%)ってのは決して誇れる数字じゃ無いですが、これ、フルサイズなので。APS機の数値と並べられたら困っちゃうのです。エントリークラスのAPS機で倍率0.9倍を切ってしまうってのは35mm(フルサイズ)換算だと0.6倍を割ってしまうのです。約0.54倍とかなると、それってコンパクトカメラのファインダーですかね…
    • 余談ながら好みとしては倍率は特にMF機では0.82倍くらいまでは欲しいのですが、ペンタ部が大きくなってしまうのと、一瞬で視界の全体をとらえることが難しくなるので速写性を考えると0.75倍というのは集中して撮るにはバランスが良いところではありまして実際、高級機でも0.75倍前後というのはよくありました(ただ、0.7倍を切るのはさすがにどうかと思いますが)。特にAF機以降は多かったように思います。
    • それを考えるとエントリークラスでもペンタプリズムを採用して0.95倍程度の倍率を確保しているペンタックスはそのブランド名の為にブランドの生命をかける勢いで、マジでがんばっているなぁと思います…それだけ賭けているんだろうカメラが投げ売りされる悲しみ。やっぱりK-01にはペンタプリズムが必要だったんや!(嘘)35mm換算で0.63-4位の倍率なら一眼レフのファイダーとしてギリギリ合格ラインだと思います。あとで登場する(はずの)Nikon Uシリーズなんてまさにそれくらいですし。
    • α-Sweetが褒められたもんじゃないのは視野率のほうで、80%というのはちと厳しいです。上下左右で5%が削られる計算になるので約20%程度狭い視界なのです。20%=2割という数字のイメージほどには大きくは削られていません。だいたいファインダーの視野より一回り広く写ると思ったらいいのですけれど、「写すのではなく(切り)撮るのだ」「良い写真を撮るためには被写体に向かって一歩踏み込め」ってのがよくあるアドバイスなところで、この広く写るってのがくせ者なのです。思い切って踏み込んで撮ったはずが、現像してみたら視界から外したはずの物が写って主題の曖昧な写真になってた…ってのはちょっと悲しいところです。
    • これがレンジファインダーなら、その「パララックスに無意識が働きかける」なんて気取ることもできるし、構図を作りすぎないその緩さを愛して使いこなした写真家たちもいたりするんですが(もっとも、本当に使い込めばパララックスなんて体感で補正できるようになるのでこれは写真家たちの韜晦だと思いますが)。
    • ただしL版の同時プリントだと、ほとんど問題にならなかったはずです。なぜなら、L版にプリントするとき、ちょうど上下左右がその位が削られるので。仮に視野率100%のカメラがあったとして、それでギリギリいっぱいに家族写真をとってL版で同時プリントにしたら家族の首が切れてしまった…なんて話題はパララックスの大きいコンパクトカメラで撮った写真を同時プリントに出したときにつきものの笑い話のたぐいです。実際、私もL版で出してもらった写真を引き延ばしてもらったとき、予想外のものが写りこんでいたことが…フィルムを確認してないのが悪いんですが。
    • そう考えると、このカメラの視野率80%というのはターゲットとする層がどんな風に写真を撮るかをよくよく分析した人たちが開発したんだろうなぁと思えるのです。もちろん、コストダウンの発想と背中合わせだろうとは思いますが。ただただ削ったというのではないだろうと思えるのです。

というわけで、始めてみればこの長さ。この項、その2へ続く。その際、写真を差し替えて分割を試みます…あとはシャッター音とかバッテリーとかカタログスペックの考え方とか…んなことを行っていたのが、まったく明後日の方角に走り始めたその2はこちら

  • 更新履歴
    • 第1版(2015.01.05)
      • 思いつくままの走り書き
    • 第2版(2015.01.05)
      • 細部修正
    • 第3版(2015.01.06)
      • 写真差し替え、細部修正