書肆萬年床 光画資料室

写真史や撮影行為にまつわるあれこれ、またはカメラ等についてよしなしごとを放り込む納戸

鎖 (COSINA ZEISS IKON + Canon Serenar 35mm F2.8 + FUJI SUPERIA X-TRA 400) / COSINA ZEISS IKONについて その2

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  • 撮影地:長崎(2014.01)
  • 機材:COSINA ZEISS IKON + Canon Serenar 35mm F2.8
  • フィルム:FUJI SUPERIA X-TRA 400
  • 現像データ:DPE

2000年代になって登場した完全新設計のレンジファインダーカメラ、ZEISS IKON(Zeiss Ikon)ですが、この写真を撮った2014年初頭を迎えるまでにはひっそりと生産を完了していました。大きな注目を集めたカメラのようでその実当時を振り返っても特集されたムックも一冊しか出ていないようであれば影響範囲はごく限られたものだったのだろうと思われます。 

影響という意味ではおそらく一眼レフベースの兄弟機であるBESSAの方が大きな影響を与えたのではないかと思うのですが、それはやはり登場した時期による差異が大きいでしょう。ツァイスイコンが登場したときには建前としてはともかく実態としては既にデジタルが覇権を確立することは揺るがない情勢でした。

そんな2005年にボディ単体で十数万円のレンジファインダーフィルムカメラに手を出す層というのは余程の趣味人であって、逆にその層にアピールするというのには十数万という値付けとそれに期待される、見合う質感としては信じられないかも知れないですが"安っぽすぎ"たのかも知れないと思わないでもなかったのです。

あらためて使ってみれば露出優先オートはやはり便利ではあります。BESSAと比較してシャッター音も静かだし巻き上げの感触もけっして悪くない。ただどこかで詰め方が足りないというか、部分部分はすごく良いのに総体として見たとき何故か安っぽい。ただそこで期待される質感というのは性能とは本来無関係なノスタルジーによるものでしかないのではというのも確かなのですが、ではこのカメラが本当にそういう趣味人を越えた層に届くことを目指していたカメラであるかというと疑問符がつくところなのです。

そのあたりに突っ込んだ厳しいコメントはウェブ上で飽きるほどみることができました。ただ、中古市場に殆ど出てこないし今なお高値を保っているところを見ると、当時それが届いた人のところでは実用機としてしっかり使い込まれているのではないかと思えてそれはそれで幸福なことだなぁと勝手に思っているのです。