トイデジブームを振り返って印象的だった機種を思い出す
「トイデジの名機」というお題をいただいたので一晩考えてみました。
歴史的経緯をキチンと整理したわけではないのですがトイデジをHOLGAやLOMOによるトイカメラのブームのそれとパラレルなものとして、どこまでをトイデジとするかは実はかなり難しいなと改めて思うところです。
実のところホルガやロモはソレっぽく、おもちゃっぽく作ろうとしたというわけ"ではない"ものだと考えています。敢えてそれを狙ったわけではなく、予算的な限界や生産上の経緯で描写に偏りが出たものを「遊び心のある」「個性的な描写」のものである、と「従来のカメラ/写真ユーザーの少なくともメインストリームとは違う層」が発見した視線の先にトイカメラ・トイデジ のムーブメントがが成立したわけです。
当時を思い起こすに、これはまぁ、ビネッティングを「周辺光量落ち=レンズの性能の悪さを示す唾棄すべきもの」過激になれば「そんな"酷い"機材で撮った"碌でもない"絵をよくも恥ずかしげもなく人に見せつけるものだ!」と言い放つような立場では、それをトンネル効果と面白がるトイデジ 的評価軸を理解できるようなことはけっして無かっただろうなぁと思います。
閑話休題。そう考えるとSuperHeadzのデジタルハリネズミもどちらかというとトイカメラの"発見された"面白さを二次的にエミュレートした機種であり本来的なトイデジとはいえないのかもしれないなどと思わなくもないのです。
そのようなことをつらつらと考えつつ、ざっくりトイデジ の名機にどんなものがあるかと記憶の底を掘り返してみるとこんなあたりが浮上するかなと。詳細は検索してみてください。当時はかなりの数が出ているので(それだけ大きなムーブメントでした)今ならまだ動作品も充分手に入るでしょう(スペックだけ見たら、なんでこんなに高いんだ!?と思われるかも知れませんが(笑))。
・VistaQuest VQ1005 / VQ1015
・Vivitar ViviCam 5050
・トミー Xiaostyle
・タカラトミー xiao
TAKARA TOMY xiao TIP-521-MR マリーン
- 出版社/メーカー: タカラトミー
- 発売日: 2008/11/28
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・YASHICA EZ F521
新製品レビュー:ヤシカ「EZ F521」 - デジカメ Watch Watch
この他にもトイデジ ブームに乗って出てきたよく分からないグッズのようなカメラは本当にたくさんありました。今はきっと机の引き出しで忘れられているようなものたちですが、それは豊かなことだったのだと思います。
当時のブームのなかで発見されたトイデジ的な面白さの延長線上として二次的に生み出された機種まで対象を広げればこのあたりも名機と言えるでしょう。スマホではなかなか難しい体験としての面白さの見いだしうる機種達です。
・SuperHeadz DIGITAL HARINEZUMIシリーズ
・ローライ Rolleiflex MiniDigiシリーズ
Rolleiflex MiniDigi (ミニデジ) AF5.0 レッド 24613
- 出版社/メーカー: ローライ
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・BONZART AMPEL
BONZART AMPEL ボンザート アンペル 二眼レフ風 二眼デジ ミニチュア写真 ジオラマ写真 レトロカメラ 女子カメ (ブラック)
- 出版社/メーカー: BONZART
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・NeinGrenze NeinGrenze 5000T
NeinGrenze 5000T ニューリリースページ GDC(株式会社GLOBAL・DC)
・Holga Digital
HOLGA DIGITAL Limited Color Neon Orange
- 出版社/メーカー: Holga Digital
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なお、シリーズ後半で迷走するPENTAX Optioシリーズの一部はヴィレッジヴァンガードにならんでもおかしくない、ある種尖った発想のモデルがあったのでそのあたりはトイデジのムーブメントでとらえても良いのかも知れません。当時のOptioの開発状況がどのようなものであったのか。どのようなマーケティングに基づいていたのかは今からでも知りたいところです。
Optioシリーズでトイカメラ的なイメージ(あくまでイメージ)と重なるモノと言ったらまずはI-10。
Optio I-10|コンパクトデジタルカメラ | RICOH IMAGING
そしてなんといってもレゴブロックを前面に装着したNB1000でしょうか。
Optio NB1000|コンパクトデジタルカメラ | RICOH IMAGING
まだ、他にも刺激的な機種がいくつもありました。
コンパクトデジタルカメラ PENTAXブランド生産終了製品 | 製品 | RICOH IMAGING
この一覧にOptio Xが入っていないのはなぜだろうと疑問を覚えたところが、K.I.Mさんから以下のご指摘をいただきまして。成る程そのとおり…
ざっと見て2007年頃からの機種しか見当たらないのでOptio Xは単にそれ以前の機種で漏れているだけかと思います。
— K.I.M@サークル先進写真機構 (@xkim99) June 7, 2019
Optioの最後のあたりのチラシなどは本当に予算がないのかなぁという状況で、たとえばチラシに本体の写真がないのはデザイン上の問題としても、撮影サンプルもなく"イメージ画像"で、しかもそれが機種間で使い回されていたのを覚えています。
PENTAX Optioシリーズとトイデジとトイカメラ(HolgascapeやLomography)のムーブメントの交錯するあたりに2000年一桁年代のカメラ/写真史が描けるかも知れないと思ってはいるのです。
あと、子供向けカメラの方向はフォローしていないので分かりません。機種として面白いものはいろいろあり、それなりに継続的に市場性を維持しているものとは承知していますが。
さて、ここまでで書いたようなトイデジ・トイカメラのムックやそれこそ定期刊行雑誌(写真誌!)に至るまで当時いくつか出版されて(それくらいのブームだったのです!)面白いのですけれど、ブーム後半までをフォローした本は一冊もないかもしれません。
今のフィルムカメラブームもそうですが、こうしてみると良くも悪くも一部の編集者・著者に偏っているなぁと。この辺りの本は多分まだ全て手元にあるとは思います(ただし倉庫の段ボールの中(汗))。
SNAP!別冊 トイデジLovers! (INFOREST MOOK スナップ!別冊)
- 出版社/メーカー: インフォレスト
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きまぐれトイカメラの使い方 We Love HOLGA Plus +
- 作者: 全日本HOLGA普及委員会
- 出版社/メーカー: 池田書店
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Holgascape―THE WORK BOOK OF HOLGA
- 作者: 全日本HOLGA普及委員会
- 出版社/メーカー: 池田書店
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デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房 ~ピンホールに蛇腹、魚眼でレトロでアナログなデジタル写真を撮ろう!~
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おそらくここらで紹介した機種が参考になると思われますが、どなたか夏コミに向けてテーマとしていかがですか?
追記
皆様からいくつかフォローをいただきました。ありがとうございます。
タカラトミーの「3D SHOT CAM」がピックアップされていないのが,解せぬ(^^;
— awane-photo.com🔰 「撮影日記」はじめました🎐 (@cvcnet) June 7, 2019
タカラトミー「3D SHOT CAM」は,「名機」ではなく「迷機」とよびたいカメラの1つ
— awane-photo.com🔰 「撮影日記」はじめました🎐 (@cvcnet) June 7, 2019
名機な面
○低価格で手軽に平行法ステレオ写真が撮れる。
○L判プリントを鑑賞するという割り切りのうまさ。
○ビューワーキットが用意されている。
迷機の条件
×左右のシャッターにタイムラグがある(致命的短所)。
(ほぼ)真四角写真&ノスタルジックムービーが撮れる小さなトイデジ「SQ28mm」 | ギズモード・ジャパン https://t.co/ae19KuslkQ
— ただのゴミ (@micross_) June 7, 2019
トイデジと言えば当時はこれで写真撮りまくってたな。ってもう10年も前になるのか…