光画図書室閉架書庫

写真史や撮影行為にまつわるあれこれを放り込む納戸。

日本写真界の現状 ① いま出ている写真雑誌と編集者を紹介して下さい (フォトアート臨時増刊「質問に答える写真百科」所収)

1958年6月の写真誌概況。フォトアート臨時増刊「質問に答える写真百科」所収の記事。昨年のアサヒカメラ(アサヒ新聞社)に続き日本カメラ(日本カメラ社)が倒れて会社清算にまでいたり、フォトテクニック誌に源流をもつフォトテクニックデジタルの休刊が発表されたいま、写真誌を振り返る手がかりとして面白いかと思うので紹介する(無署名記事により 著作権保護期間終了済)。

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冒頭でここに至るまでの戦前からの流れが簡単にまとめられている。アルス学校と呼ばれた一大勢力の源流で戦前の写真表現を牽引しリアリズム写真運動の拠点として50年代の前線であったCAMERA(ARS)は既に休刊(1956)している。

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九誌とその姉妹紙を合わせての十五誌(記事末に名前だけ紹介されている三誌を加えれば十八誌)だが、大きく新聞社系とアルスから出た雑誌に大別されている。

・アサヒカメラ(大正15年4月 創刊/朝日新聞社

・サンケイカメラ(1954.6 創刊/産業経済新聞社

・カメラ毎日(1954.5 創刊/毎日新聞社

・月刊カメラ(1939.6 創刊/光画荘)※光画月刊の後裔

・カメラの友(光画荘)※月刊カメラ姉妹紙・創刊年次記載なし

・写真工業(1952.6 創刊/光画荘)※この時点で唯一のメカニズム専門誌

・8ミリ(1956.11 創刊/光画荘)

・写真サロン(1933.1 創刊/玄光社

・小型映画(1956.5 創刊/玄光社※写真サロンの僚友誌

・フォトアート(1949.5 創刊/研光社)

・特集フォトアート(1957.6 創刊/研光社)※フォトアート姉妹紙・臨時増刊、別冊より独立創刊

・日本カメラ(1950 創刊)

・8ミリシネマン(1956.12 創刊/日本カメラ社) ※日本カメラ姉妹紙・1958.3に「カメラとシネ」より改題

・フォトコンテスト(1956.9 創刊/写真文化振興会)

・Photo 35(1955.10 創刊/新日本写真会)

・カメラスクール(日本カメラ教育協会)(※名前のみ)

・カメラマン(地方紙 ※名前のみ)

・旬刊フォト(地方紙 ※名前のみ)

これまで見逃していたが、正体がよくわかっていない「カメラマン」誌が地方の機関紙的なものとして記載されていた。少なくとも全国紙の編集部に認知される存在ではあった。そしてこで紹介されている各紙のうちの数紙もこのあとほどなく休刊を迎える。

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ごく自然に8mmカメラ誌が写真雑誌と同カテゴリにあるとに違和感を覚える向きがあるかもしれないが、当時としてはこれは当たり前でカメラ雑誌のなかでも8mmカメラは比較的大きく扱われる。カメラ趣味と映像趣味は近いところにあった。

 この後いったん分かれていくこの層での写真と動画が再び出会うには80年代の家庭用ビデオでの試みを経て、PCとデジタルカメラの普及、最終的にはYoutubeスマホの登場を待たねばならなかった。そしていまは実情として、かえって写真が映像(ショートムービー)に飲み込まれつつある状況かもしれない。

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この時点での十五誌(末尾で名前だけ紹介される三紙を含めれば十八紙)のなかではほぼ末尾に位置していたフォトコンテスト誌のみがカメラ時代→フォトコンテスト(復刊)→フォトコンとして現在まで血脈を伝えている。それが2021年5月の光景である。