書肆萬年床 光画資料室

写真史や撮影行為にまつわるあれこれ、またはカメラ等についてよしなしごとを放り込む納戸

主要記事一覧

当ブログである程度継続的に扱っているテーマについて目次を作成しました。フェイクライカ関連以下は「続きを読む」(PC端末の場合)で展開してご利用ください。

 イカ神話 / フェイクライカ関連

主に90年代末から00年頃に活動したと思われる非常に特徴的なフェイクライカを作成したロシアのチームによるカスタムの変遷を追っています。当時のクラシックカメラブームを背景として、Leitz製カメラとしての狭義のLeicaを超えた広義の「ライカ」について考えています。

  1. フェイクライカとはなにか / フェイクライカの新潮流 (暫定版)
  2. 件の系統のフェイクライカ 初期型 レポート 速報版 
  3. 件の系統のフェイクライカ 軍艦部切断型目測モデル
  4. 件の系統のフェイクライカ 愛と幻想のシン・ライカ
  5. 件の系統のフェイクライカ カッタウェイ(スケルトン)モデル
  6. 件の系統のフェイクライカにおける一連の指標についての考察
  7. 件の系統のフェイクライカ 番外編 カスタムフェド レポート速報版
  8. 件の系統のフェイクライカ 情報集積所
  9. M3神話解体試論 (2018.1.3版)
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東郷堂 専用フィルムのスキャン

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前回で東郷堂の円カメラNice号について簡単に報告しましたが、東郷堂製の円カメラ用のフィルムは専用の紙製のホルダー(撮り枠)に一枚ずつ収められていて、撮影後はその撮り枠ごと専用の着色された現像液に浸すことで暗室無しで現像・定着・焼き付けが出来るというのが大きな特徴で各販売所でのいわゆる白昼現像のパフォーマンスが子供たちを虜にしていたというのは先も触れたとおりです。

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東郷堂の専用フィルムはゲバルト社のフィルムを輸入して切断し、紙製の撮り枠=専用ホルダに詰めたものとのことでおそらく無孔の映画用35mmではなかったかと思われます。手持ちのスキャナ(EPSON F-3200)の35mm用ホルダに収まりましたので、別に手に入れた現像セットに付いてきたフィルムを読み取ってみることにしました。

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フィルムが銀化を起こすなど劣化していたこと、またF-3200のドライバー上の補正機能をすべて強でかけたことでかえってディティールは劣化していますが取り急ぎ雰囲気はわかるものと思います。

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端にゲバルト社のロゴが読み取れますのでこのフィルムは輸入規制前(輸入規制後は富士フイルム製に切り替わりますが当時はまだ性能が悪く苦労したとの証言があります)であり、また奥に和服の女性二人がよく写っているので絞り固定、SS Bのみの円カメラの写りでなく、撮影は東郷堂の高級機ではないかと思われておそらく撮影者は大人です。

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この青年が撮影者なのか、それともモデルなのか。一連のフィルムに繰り返し現れます。戦前の若者の年齢を見分けるのは難しいですが、おそらく今の大学生ぐらいの年齢ではないでしょうか。この撮影場所も何度も出てきますが、家の中庭、あるいは玄関先でそれなりの大きさの家のようです。また最初のスーツといい、それなりの格好をしているのが印象的です。

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彼もまたなんどか登場します。兄弟か、友人か。この犬は飼い犬でしょうか。戦前に犬を飼えるとすればやはりそこそこの家には違いありません。

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冒頭の写真もそうですが野外に持ち出してのロケも試みていたようです。あまり成功しておらずブレているものが多いですが手持ちだったのでしょうか?

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これは冒頭の写真に写っている女性二人で、和服姿ですが、あまり着物の柄にはくわしくないもののかなり斬新なデザインでいわゆる銘仙的であります。

さて、この撮影者・被写体が示すように東郷堂のカメラは子供向けの円カメラだけでなく、むしろそれらは研究用として現像・定着液等とセット売りされる初心者向けキットであり中級機・上級機もラインナップされていたしそちらが本筋であったことはネット上で有志が公開なされているカタログ類からもわかります。

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白昼現像用の専用フィルムだけではなく、上級機むけにはロールフィルムバックも設定されてましたし、そうなればつまりはカメラ史における通常の蛇腹カメラそのものです。

カメラ誌・カメラ業界からは一部を除き無視されていた東郷堂は、独自の会報・通信を充実させていたのですが、これもまた記事が海外にしかないのが現状なのが残念です。

camerapedia.fandom.com

さて、東郷堂さえ記録が乏しいところなのですが、実は東郷堂が白昼現像を普及させたのは確かではあるものの決して東郷堂の発案によるものではなく、また東郷堂の成功に刺激されてそれに類する白昼現像定着法を使う入門者向けのカメラ(=円カメラ)は当時外にもたくさんありました。

東郷堂に輪をかけて記録は少ないのですが手元にいくつかそのようなカメラの資料があるので次はその紹介をしていきたいと思います。

東郷堂 Nice号(1934) 簡易報告

日本の現在のカメラ史・写真史というのはそれぞれプロ・セミプロ・マニアよりに描かれているきらいがあり、実態とズレているのではという思いがあります。

いま「東郷堂」といってもほぼ知られておらず、ネット上では海外の方がはるかに情報が詳細なのが現状です。

せいぜい白昼現像定着液を使う子供向けの円カメラとして当時の写真界・カメラ界からも色物扱いされていて、いわゆる写真史においてもほぼ取り上げられない東郷堂ですが、実際には海外まで特約店千軒を数える大企業でした。

camerapedia.fandom.com

当時、カメラが大変な高級品であった時代に子供たちでもなんとか手に届かなくもない値段で簡易なカメラをラインナップし、それを少年誌などの広告や通販を通じても子供たちに届けていました。また、各販売所での白昼現像のパフォーマンスは、そこに像が映し出される不思議によって子供たちを虜にしていました。

『カメラ面白物語』(1988,朝日新聞社編)に「『円カメ』一代トーゴーカメラ」と題した井上光郎による記事ありトーゴーカメラの晴天の元での現像・焼き付けの実演販売の様子が臨場感豊かに描かれています。この本は日本の写真・カメラを作品や機種だけでなくその周辺の文化を幅広く取り扱った数少ない本でお勧めです。

事実、このカメラをきっかけに、写真の道に入ったという著名な写真家達のかなり好意的な思い出は現代カメラ新書の『私のカメラ初体験』などでも拾うことができ、スタートカメラとして重要な役割を果たしていたことが読み取れます。

私のカメラ初体験 (現代カメラ新書)
 

 また、この東郷堂の方式をまねたカメラも盛んに作られたようですが記録は更に少ないのです。

当時の東郷堂の立ち位置、写真界との距離は、現在のチェキのようなものと思うとある程度理解しやすいかもしれないと考えます。ドン・キホーテではチェキ各種やフィルム全種まで手に入れることができ、盛んに売れていますが、それは写真界からは色物・別物扱いされているのは事実だろうと思うのです。

今より遙かにカメラというものにステータスがあった時代、東郷堂のカメラや機材は一般のカメラ店では扱ってもらえなかったため、東郷堂は書店や玩具店といった自分たちの顧客の集まる店と契約を結び独自の販売網を形成していました。 

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閑話休題東郷堂のNice号の簡易報告です。東郷堂のカタログにあるように初心者研究用として現像定着から焼き付けまでできる付属品一式と共に販売された由緒正しき「暗室不用白昼現像」のいわゆる「円カメラ」三機種のうち、ボックスカメラである他の二機種に対して一見アトム判と見まがうサイズと体裁の蛇腹カメラです。

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シャッター速度はO/I/Bの三種類。Oは構図確認用の開放(Openと思われる)、Bはバルブで実質的にシャッターはIのみで恐らく10から30分の一秒と思われます。ただ、専用フィルムの感度は一桁であったようなのでバルブで問題なかったのでしょう。twitter上でKanさんより「IはInstantという意味で、大体は1/30~1/60くらい。Kodakが単速シャッターについてこのような表記をしていた」旨のコメントをいただきました。

なお、サイズ的にアトム版を想起させる蛇腹カメラですが、絞り固定でもあり、レール上でレンズを移動させることは出来るようですが固定は難しく、ほぼ折りたためるボックスカメラと思って間違いないようです。

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サイズ感は先述の通りアトム判に近いものです。一見ピントグラスも外れそうですが残念ながら固定。専用フィルムに合わせて覗き窓も一回り小さいものです。上のスロットから専用の紙製撮り枠入りフィルムと押さえ用のなにかを入れていたものと思われます。

東郷堂のカタログには発行年月日がなく、掲載されている価格や巻頭で誇らしく掲げられる特許及び実用新案の数の推移から推測するしかない難物なのですがCamerapediaによれば1934年の発売となっています(冒頭のCamerapediaの記事内に当時のカタログが掲載されています)。1930年後半として3円80銭というのは7千円前後というところでしょう。現像焼き付けまでの一式揃いでもあり、当時としては破格の値段です。

camerapedia.fandom.com

パーレットが当時で17円くらいで現在の3万円といったところになるようですが当時の収入や生活水準等からするともう少し上、3倍くらいに換算しなければ合わないように思われます。なお、当時入り始めたライカはIA型で250円…。

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これはまた別に手に入れた東郷堂の現像タンクおよび簡易焼付機、現像薬等と専用印画紙と現像済フィルムに専用アルバムです。印画紙やフィルムが専用の紙製の撮り枠に収められていたことが分かります。また白昼現像に使用する薬品はフェノールフタレインにより赤く色づけられていたことが確認できます。

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フィルムは銀化しているものスキャンは可能な状態で、一枚をスマホでとって簡易に反転してみたところなかなかの紳士が現れました。撮影状況が不明ですが、子供がおもちゃに持ち出したという類いではないようです。また、フィルムの端にゲバルト社の名前が見えて当時の証言通りです。

このあたりについてはまた別項でまとめていきたいと思います。

件のフェイクライカの系列における一連の指標についての考察

私が一種の系統関係にあると考えている件のフェイクライカの系列には継続して出現が確認される特徴的な指標=マークがいくつかあります。また、それぞれの指標と個体の特徴にはある程度関連が見えるところがあって、係わった職人・担当者を表すものではないかと考えていて、さらには担当者同士の関係性などもボンヤリ浮かび上がってくるところなのです。

以下の原稿では2019年6月現在で確認できる指標を整理したいと思いますが、これまでにも増して推測に推測を重ねたメモであることはご注意ください。今まで一連の系列としてきた件のフェイクですがお互いに関係するものの大きく2つのグループに分かれるのではないかというという可能性もあり、このメモでの考察はのちに根底から翻ってしまう可能性も大であることをご理解の上で読み進めていただけるとありがたいです。

・「@」の指標
フェイクライカではなくレアライカの証拠とされるBetriebskという指標とともに現れることが多いのです。Betriebs Kameraの略で、営業用もしくは業務用カメラとでも訳すべきなのでしょうが、ライツの社内で業務用で使われた個体に刻まれた印ということに"なっています"けれども、Mシリーズ後期のものなどはマニア向けにあえて生産されたものではないかという疑いも。

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初期のものはBetriebsのスペルを間違っており、またその間違い方からラテン語系のアルファベットに通じておらずスラブ語系のアルファベット=キリル文字に親しんでいる文化圏の人物であることがわかります。

photoworks.hatenablog.com

一時期、「@」氏は二次大戦オマージュモデルとは無関係かとも考えましたがナチスの国章を目立たない形で刻んだ個体(上記の記事で紹介している初期型)を入手したので無関係とばかりも言えないようで、またネット上で数は少ないながら「@」の指標のある二次大戦オマージュモデルも確認できています。

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初期型個体のデザインは主に二次大戦オマージュモデルに関わったと思われる「M」氏の初期のものと非常によく似た仕上がりであることにも興味をひかれます。

「@」氏はこの系列の後期で既に報告済のカッタウェイモデルに関わっていますが、最近字体のかなり稚拙な時期からカッタウェイ(=スケルトン)機を作っていたことを確認し、後述する「SMK」氏との関係が読み取れました。

その初期型のカッタウェイ機のボディの肉抜きの仕方に特徴が有るのですが、それは既報のカッタウェイ機を超えて2019年現在にeBayに現れるカッタウェイ機の肉抜きに通じる特徴であるることから、ひょっとしたら彼も今なおフェイクライカに関わっているのかも知れませんが「@」マークなどの明確にそうと読み取れる指標はなく、今後の課題です。現在のカッタウェイモデルに関わっていることが強く示唆されていると考えるのは次の「M」氏です。

 

・「M」の指標
この系統と考えられるフェイクライカのうち、twitterで紹介すると非常に反応が大きいのが第二次大戦オマージュモデルで特にナチスドイツオマージュ機です。

無論実際の軍用カメラにそんなに"ド派手"なものはありえないのですが、そこが軍事の実際とサブカルチャーにおける幻想との落差があると思われて興味深いのです。 

この第二次大戦オマージュ機の装飾中に現れる(ないこともある)「M」がこの人物の指標ではないかと考えています。

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この系列を考えるとき、この時期の二次大戦オマージュモデルの数が他を圧倒していて、"一連の"というのは実はフェアではないというのも確かなのです。

また、その多数の第二次大戦オマージュモデルのうち頻繁に現れる指標が「M」氏と次の「SK」氏で他の指標が現れる頻度はかなり少ないようです。

この人物はおそらく今も(または近年まで)活動していると思われてeBayで"Russian"あるいは"Fake Leica"を検索すればこの第二次大戦オマージュ機のデザインを引き継ぎ、一部発展させたモデルを容易に見いだすことができます。

2019年現在でeBayに大量出品されている二次大戦オマージュモデルの後継機はシュー部分にMを○で囲んだ意匠をあしらっているのが特徴的で、おそらくこれは「M」氏の指標だと考えています。

なお、現在eBayに出品されているモデルは個人的には装飾書体が大仰になりバランスを崩しているように思われますが、それは次の「SK」氏の影響もあるのかもしれません。また彼は内部の機構には(おそらく)触れないようで現在のeBayの出品をみると外装と比較して内部がボロボロのものがあり、そのあたりが一連の系列のフェイクライカがチーム作業によるものであったのではないかと推測する理由でもあります。

たとえばこのブログでデジカメ化のベースになっているのもそのような個体のひとつです。

 上述したようにMの指標のある個体でもこの先に報告した「@」氏によると思われる初期型とほぼ同型のかなりシンプルなものがあります。(以下の個体はリペイントの可能性もありますがおそらくは当初からのものです)

sg.carousell.com

そのため一時「@」氏と「M」氏は同一人物かとも思ったのですが、M氏は途中から件の系列には現れなくなり、それが件の系列のフェイクから第二次大戦オマージュモデルが消えるのと軌を一にしています。


・「SK」の指標
そしてもう一人、第二次大戦オマージュモデルの頃のフェイクライカに登場する指標が「SK」氏です。彼の関わった個体が今のところ手元になく、全てウェブ上の手がかりからの推測になり不十分な考察しかできない人物です。

この「SK」氏の係わるデザイン・カラーリングは私の主観になってしまいますが、少々装飾過多というか、装飾的な書体を多用する傾向にあるように思われて「SK」の指標もそのような書体が使われています。

このブログで紹介されている個体のようにむしろその装飾性が良い方向に働いていた例もあるので決して悪いとばかりは言えません。

kutanmari.exblog.jp

ただ、次のフォーラムで言及される個体になるとむしろ別の方向に向けて走り出しているような印象を受けます。

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(出典) Painfully bad Leica fake of the day - Rangefinderforum.com

既出の通り現在のeBayにおけるフェイクには、先の「M」氏とこの「SK」氏の二人のデザインを引き継いだものが多く見られます。この時代には登場しない○にmの図案化されたマークとともに「SK」のマークも見られるものがあります。

現在のeBayで流通する個体が件の系列の二次大戦オマージュモデルのデザインを引き継いでいたとしてもレタリング部分の装飾書体が派手になっている場合が見られるのが当時の物と現在のそれを区分する特徴になっています。

 

・「P」の指標
この系列を考えるとき乳白色のビニール素材も手がかりで、第二次大戦オマージュモデルでは背面に大きくこの素材がスペースを占めているのが特徴で、表側には"Prazisionsinstrument"の丸いマークが付きます。

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この素材は第二次大戦オマージュモデルで印象的なのですが、それらと強い関わりをもつ「M」氏あるいは「SK」氏による現在のeBay個体からは失われているものの一つです。

後期の個体ではこのように派手な使われ方はしませんがライカやそれに従ったライカコピー機の特徴でもある底蓋裏側のフィルムカット仕方の表示などで使用を確認できるようです。


・「Δ」の指標
件の系列のフェイクライカのデザインが第二次大戦オマージュから離れた後に現れる指標です。シンプルで落ち着いた佇まいのフェイクを作成していて、その完成度は彼の手によるモデルが国内某店で"ライカ"として販売されてしまった例が確認できるほどです。

彼が係わって以降の件の系列のフェイクライカの塗装はツヤありのブラックからマットブラックに変わります。

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また、最晩期のカッタウェイモデルの内部には彼の手書きと思われるサインが確認できます。


・「SMK」の指標
今のところ手元の個体に確認できるうちで一番古いのはこちらで報告した歴史的な参照元を持たない軍艦部切断目測モデルの巻き上げノブに現れる古拙な「8MK」で「@」氏と同時に出現します。

photoworks.hatenablog.com

むしろ完成度が高まった後期の個体での印象が強く、二次大戦オマージュ機と後期の個体の関係性に一時疑いをもった理由でもあります。

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しかしtwitter上でJun Sugawaraさんからのご報告を受けて第二次大戦オマージュ機にも現れることがわかりました。

 また「@」氏のカッタウェイモデルの初期と思われる個体にも登場しているのが確認でき「@」氏との関連が読み取れるのは既出の通りです。

 

・未確認の指標
他に未確認の指標的なものとして"G(○に囲まれたものとそうでないもの)""S""SM"(SMK氏か?)などがあります。

 

・カラーリングをマネジメントした人物とそれぞれの関係性
さて、これも未確認の指標と言えるかも知れませんが、件の系列を考えるときカラーリングがひとつの手がかりかもしれないと考えていて、黒を基調にオレンジがかった赤、或いは濃いオレンジをあしらったものが統一したカラーになっているように思えます。

eBayで現在観測される「M」氏あるいは「SK」氏の手によると思われる個体は黒地に白を基調としていて、全体のイメージが違います。このあたりに当時この系列のイメージを統一してマネジメントしていたと思われる人物の存在が示唆されるように思われるのです。

今のところボンヤリ考えているところとしては何名かの個別に活動していた職人が一時それぞれの強み(外装・内部機構等)を持ち寄って共同作業をしたものと思われて、ただ主に第二次大戦オマージュ機をつくったM氏・SK氏は途中で離脱し、入れ替わりでΔ氏が入ったのではないかと想像しています。

もちろんこれは全て仮説ともいえない思いつきのレベルの代物でいつ翻ってもおかしくない根拠薄弱なものであることは最初に述べたとおりです。

 

・2019年6月現在のeBayフェイクライカ事情
また上述のように2019年現在にeBay上で観察できるフェイクライカには「M」氏・「SK」氏との関係性が読み取れるのものがあります。明確な指標はないもののカッタウェイモデルの肉抜きの仕方は明確に「@」氏との関連性を示唆するのですけれども、そこは未確認です。

www.ebay.com

ただ、現在eBayで流通している個体にあまり興味がわかないというのが正直なところで、それは基本的に過去のデザインの再生産であること、新しく追加されたり変更されたりしたレタリング部分が間延びして大量生産のやっつけ仕事の感があること、そして外見の装飾にとどまり、基本的に内部の機構に手が入っていない(カッタウェイモデル除く)ことあたりが理由なのです。

しかし、一部に当時は見られなかったデザインなども出現しているので継続的に観察していきたいとは思っています。

トイデジブームを振り返って印象的だった機種を思い出す

トイデジの名機」というお題をいただいたので一晩考えてみました。

歴史的経緯をキチンと整理したわけではないのですがトイデジHOLGALOMOによるトイカメラのブームのそれとパラレルなものとして、どこまでをトイデジとするかは実はかなり難しいなと改めて思うところです。

実のところホルガやロモはソレっぽく、おもちゃっぽく作ろうとしたというわけ"ではない"ものだと考えています。敢えてそれを狙ったわけではなく、予算的な限界や生産上の経緯で描写に偏りが出たものを「遊び心のある」「個性的な描写」のものである、と「従来のカメラ/写真ユーザーの少なくともメインストリームとは違う層」が発見した視線の先にトイカメラトイデジ のムーブメントがが成立したわけです。

当時を思い起こすに、これはまぁ、ビネッティングを「周辺光量落ち=レンズの性能の悪さを示す唾棄すべきもの」過激になれば「そんな"酷い"機材で撮った"碌でもない"絵をよくも恥ずかしげもなく人に見せつけるものだ!」と言い放つような立場では、それをトンネル効果と面白がるトイデジ 的評価軸を理解できるようなことはけっして無かっただろうなぁと思います。

閑話休題。そう考えるとSuperHeadzのデジタルハリネズミもどちらかというとトイカメラの"発見された"面白さを二次的にエミュレートした機種であり本来的なトイデジとはいえないのかもしれないなどと思わなくもないのです。

そのようなことをつらつらと考えつつ、ざっくりトイデジ の名機にどんなものがあるかと記憶の底を掘り返してみるとこんなあたりが浮上するかなと。詳細は検索してみてください。当時はかなりの数が出ているので(それだけ大きなムーブメントでした)今ならまだ動作品も充分手に入るでしょう(スペックだけ見たら、なんでこんなに高いんだ!?と思われるかも知れませんが(笑))。

VistaQuest VQ1005 / VQ1015
・Vivitar ViviCam 5050

Vivicam 5050 パールホワイト VIV-5050-WHT

Vivicam 5050 パールホワイト VIV-5050-WHT

 

・トミー Xiaostyle

トミー、電池込みで111gの小型デジカメ「シャオスタイル」

タカラトミー xiao

TAKARA TOMY xiao TIP-521-MR マリーン

TAKARA TOMY xiao TIP-521-MR マリーン

 

 ・YASHICA EZ F521

新製品レビュー:ヤシカ「EZ F521」 - デジカメ Watch Watch

この他にもトイデジ ブームに乗って出てきたよく分からないグッズのようなカメラは本当にたくさんありました。今はきっと机の引き出しで忘れられているようなものたちですが、それは豊かなことだったのだと思います。

当時のブームのなかで発見されたトイデジ的な面白さの延長線上として二次的に生み出された機種まで対象を広げればこのあたりも名機と言えるでしょう。スマホではなかなか難しい体験としての面白さの見いだしうる機種達です。

・SuperHeadz DIGITAL HARINEZUMIシリーズ

www.superheadz.com


・ローライ Rolleiflex MiniDigiシリーズ

Rolleiflex MiniDigi (ミニデジ) AF5.0 レッド 24613

Rolleiflex MiniDigi (ミニデジ) AF5.0 レッド 24613

 

 ・BONZART AMPEL

 ・NeinGrenze NeinGrenze 5000T

NeinGrenze 5000T ニューリリースページ GDC(株式会社GLOBAL・DC)

Holga Digital

HOLGA DIGITAL Limited Color Neon Orange

HOLGA DIGITAL Limited Color Neon Orange

 

 

なお、シリーズ後半で迷走するPENTAX Optioシリーズの一部はヴィレッジヴァンガードにならんでもおかしくない、ある種尖った発想のモデルがあったのでそのあたりはトイデジのムーブメントでとらえても良いのかも知れません。当時のOptioの開発状況がどのようなものであったのか。どのようなマーケティングに基づいていたのかは今からでも知りたいところです。

Optioシリーズでトイカメラ的なイメージ(あくまでイメージ)と重なるモノと言ったらまずはI-10。

Optio I-10|コンパクトデジタルカメラ | RICOH IMAGING

そしてなんといってもレゴブロックを前面に装着したNB1000でしょうか。

Optio NB1000|コンパクトデジタルカメラ | RICOH IMAGING

まだ、他にも刺激的な機種がいくつもありました。

コンパクトデジタルカメラ PENTAXブランド生産終了製品 | 製品 | RICOH IMAGING

この一覧にOptio Xが入っていないのはなぜだろうと疑問を覚えたところが、K.I.Mさんから以下のご指摘をいただきまして。成る程そのとおり…

Optioの最後のあたりのチラシなどは本当に予算がないのかなぁという状況で、たとえばチラシに本体の写真がないのはデザイン上の問題としても、撮影サンプルもなく"イメージ画像"で、しかもそれが機種間で使い回されていたのを覚えています。

PENTAX Optioシリーズとトイデジトイカメラ(HolgascapeやLomography)のムーブメントの交錯するあたりに2000年一桁年代のカメラ/写真史が描けるかも知れないと思ってはいるのです。

あと、子供向けカメラの方向はフォローしていないので分かりません。機種として面白いものはいろいろあり、それなりに継続的に市場性を維持しているものとは承知していますが。

さて、ここまでで書いたようなトイデジトイカメラのムックやそれこそ定期刊行雑誌(写真誌!)に至るまで当時いくつか出版されて(それくらいのブームだったのです!)面白いのですけれど、ブーム後半までをフォローした本は一冊もないかもしれません。

今のフィルムカメラブームもそうですが、こうしてみると良くも悪くも一部の編集者・著者に偏っているなぁと。この辺りの本は多分まだ全て手元にあるとは思います(ただし倉庫の段ボールの中(汗))。

SNAP!別冊 トイデジLovers! (INFOREST MOOK スナップ!別冊)

SNAP!別冊 トイデジLovers! (INFOREST MOOK スナップ!別冊)

 

 

トイデジのアイデア

トイデジのアイデア

 

 

きまぐれトイカメラの使い方 We Love HOLGA

きまぐれトイカメラの使い方 We Love HOLGA

 

  

きまぐれトイカメラの使い方 We Love HOLGA Plus +

きまぐれトイカメラの使い方 We Love HOLGA Plus +

 

  

Holgascape―THE WORK BOOK OF HOLGA

Holgascape―THE WORK BOOK OF HOLGA

 

  

おそらくここらで紹介した機種が参考になると思われますが、どなたか夏コミに向けてテーマとしていかがですか?

追記

皆様からいくつかフォローをいただきました。ありがとうございます。