書肆萬年床光画関係資料室

写真史や撮影技術、カメラ等について研究趣味上のメモ置き場

APS(IX240)フィルムでの撮影についてちょっとしたまとめ 2017年版

(注 2018.01.05)

この頁は2017.08当時のAPSを取り巻く状況をまとめた頁です。情勢はその後大きく変化してAPSを使うなら今しかない!」というぐらいの状況が出来しています。 APSフィルムが期限切れであることなどはこの記事でまとめた通りなので期限付きの状況ではありますが。取り急ぎ、サークル先進写真機構のK.I.Mさんが著書の頁を公開してくださっていますので、まずはこちらをごらんくださいませ。

 K.I.MさんのAPSカメラ本は横浜の「カメラはスズキ」横浜ジョイナス店での委託販売やご本人のブログから製本通販.comを通して購入可能です。大変な力作ですから是非手に取ってみられてください。APSに興味をもたれた貴方なら、間違いなく刺激的な作品です!

blog.livedoor.jp 

 

C92新刊 サークル先進写真機構「APSフィルム一眼レフのすべて」勝手にサポートコーナー

C92がそろそろ終わろうとしています 参加者の皆様お疲れ様でした。

Twitterで知遇を得たK.I.Mさんが先進写真機構というサークルを立ち上げAPS一眼レフの全機種解説本と写真集を引っ提げて参加されていまして、そこに応援ペーパーを寄稿させていただきました。

重鎮というのはまったくの勘違いで、ペーパーを読んでいただいた方にはおわかりの通り、私自身が最近になってあらためてAPSカメラと出会い直し、当時はほとんど触れることのなかったAPS機にこんなにも興味深い機種と撮影体験があったのかと新鮮な気持ちで向かい合っている一人のアマチュアに過ぎません。

そして以下のような投稿が流れてくるあたり、多少なりとも再評価の流れがあるものと思われるのですが、それを手放しで喜ぶには少々気になる点があり、まとめておきたいと思った次第なのです。

 

  • お読みいただく前に 
  • APS(IX240)フィルムはすでに生産終了(2011年)から6年が経ち、全てのフィルムは有効期限を過ぎています。ブランドや保管状況にも左右されますが、すでに往時の性能を十全に発揮することは難しくなっていることをご承知おきください。
  • IX240フィルムの再生産や他のフォーマットのフィルムからの転用は今のところ不可能で、数年以内に全て撮影不能となるのが不可避な状況です。その前に、何かの縁でAPSカメラと出会うことになった皆さんがちょっと使ってみたいなと思ったときに、なるべく往時に近いパフォーマンスで試す手がかりになればと思います。
  • カメラと写真についての考えは様々です。よくわからないカメラで興味本位に撮ってみた不鮮明な結果が、自分にとって大事な一枚になることもあります。願わくはそういう機会につながりますように。

 

1.カメラ/レンズの入手性と考慮すべきポイント

APS規格のカメラ・フィルムが市販されたのは1996年からで、フィルムについては2011年に生産終了が発表されていますが、カメラの新機種については2000年代の早い時期に絶えています。また一眼レフにいたっては第一世代が後継機のないまま2000年にはディスコンになりつつあり、「APSフィルム一眼レフのすべて」で紹介されているカメラは現状で20年近くたっているプラカメばかりだということは知っておいていただければと思います。つまりメーカー保証はとっくに終わっていていつ壊れてもおかしくないということです。

しかし、APSが普及しきれなかったため、逆説的に35㎜機に比べて使い込まれておらず比較的状態が良いものが手に入りやすいのです。しかもフィルムがディスコンになったためジャンクコーナーの常連となっており、CONTAX Tixなどのごく一部の機種を除けば捨て値です。こういうの場合、1円・2円を争って時間を無駄にするのはとてももったいないので、ハード○フや都会のカメラ店のジャンクコーナーで適切な機種を見かけたら、お財布と相談して妥当な値段でさっさと拾ってくるのがよいだろうと思います。

ジャンクについてきにするべきポイントは、ファインダのカビ・曇り、ボディのひび、電池室の液漏れ(蓋周辺から緑の変色があらわれていないでしょうか)

一例として、以下のIX50はついこないだジャンクコーナーで拾ってきたものですが540円でした。いささか高めですね(笑) 

ジャンクコーナーで特に梱包などもなく、乱雑に置かれている中にありましたのが、電池を入れるとまったく問題なく動作しています。おそらくよほど(一見して明らかなヒビが入っている/電池室に液漏れがある など)のことがない限り撮影自体はできる状態だろうと思います。

レンズ交換式一眼レフとして見かけるのはおそらくMINOLTA(現 コニカミノルタ)のVectis S-1/S-100かCanon IXE/IX50が多く、NikonのPRONEA 600iがその次でぐっと下がってPRONEA Sが続くぐらいでしょうか。このあたりは店舗によってもずいぶん違うところです。

相場は数百円~3000円くらいではないかと思います。中古を探す際に気をつけるべきポイントは特に変わるものはありませんが、ざっくりポイントを書きますと以下のようになります。

*① MINOLTA Vectis シリーズ

  • 完全新規マウントのVマウントを採用しているためレンズも併せて入手する必要がありますが、現状ではミラーレス機に転用するようなマウントアダプター等も一般に入手できる形では存在しないためレンズも一部を除き捨て値です。レンズも含めて防滴のため、ズームを操作する際に空気の出入りがあって一瞬引っかかりを覚えることがありますが故障や油ぎれではないので安心してジャンク箱から拾っていいです。

*② CANON IX シリーズ

  • IXEのデザインは好きな人にはたまらないでしょう。専用レンズと一緒に見つかることは少ないですが、マウントはEFマウントを採用しているため、捨て値で売ってある標準/望遠レンズがそのまま使えます。

*③ Nikon PRONEAシリーズ

  •  専用レンズはありますが、Fマウントレンズがそのまま使えます。ただし、Fマウントのジャンクレンズは少々お高いことがあるので、そのあたりも考慮して探すといいでしょう。PRONEA Sについては周囲で動作不能になった個体の報告が増えている印象があり、またジャンク扱いで購入して一見電源が入ってもまともに動作しない、ということも続きましたので、内部のプラパーツや電装が寿命をむかえつつあるのではないかとにらんでいます。どうしても、というときは時間はかかってもきちんと動作保証が取れているものを探した方がよいでしょう。

ざっくりした印象ですが何らかの参考になれば。レンズ一体型一眼レフのOLYMPUS CenturionやFUJI EPiONについては先ほどの通常のジャンク基準での対応で大丈夫だと思います。

 

2.APSフィルム(IX240フィルム)の入手性について

さて、こちらが少々難しいフィルムの入手性です。現状ではヤフオクやメルカリ等のネットオークションでの出品を狙うのが現実的ですが、高騰しています。ここしばらくでも急激に相場が上がりました。半年前なら一本600円で高いな、と思っていたのが今では1000円前後です

これにはTwitter界隈で騒いでいた自身の言動も多少なりとも影響したところがあるのかと思わないでもないですが、逆にいえば相場が上がったからこそ次々出品が続いていて、まだまだデッドストックが眠っているのだなと今からは想像しがたい2011年ごろまでのフィルムの供給状況に思いをはせるところがあります。

以前であれば一本200円を切っていたというのが事実なのですが、これは考えようです。APS機とフィルムについては様々な事情であまり真正面からの評価がされてきませんでした。いま、あらためて多少なりとも評価がされ始めたからこそ相場が上がりつつあるととらえてみるのはどうでしょう。

当時投げ売りされていたものが、あとになって再評価され高騰するというのは音楽や絵画の世界でもよくあることです。少なくともゴッホの絵というわけではなくお小遣いの範疇で(なにせカメラとレンズが捨て値なので…)手に入るので、そこは面白い経験に投資するつもりで試すのが、安い出物を探して時間を消費するよりマシと考えるのもありだと思います。

ただ、精力的にフィルムカメラを扱っていらっしゃる店舗がデッドストックの取り扱いを始められるような気配がありますので、それを待つという選択肢もありでしょう。

なお、ハードオフのジャンクコーナーで単体108~324円で転がっていることはありますが、これは他の目的で回っているときにあったら儲けものぐらいのつもりでいくのが良いでしょう。また開封されたフィルムの保存状態はまったく期待できません。

 

3.選ぶべきAPSフィルム(IX240フィルム)の銘柄について

肝心の銘柄ですが、国内で手に入れられるのはフジのnexiaコニカのセンチュリア、コダックのAdvantixなどです。海外には他にもありますが、基本的にOEMと思われ、冷蔵品を謳う出品もありますが手を出すべきではありません。

そして2017年現在、なるべく十全にパフォーマンスを発揮させたいなら、選ぶべき銘柄にフジのnexiaしかありません。それもnexia 200がおすすめです。400も期限によってはありです。800はちょっとチャレンジングかもしれません。コダックコニカのものは、その粒子の荒れを楽しむなどの目的のない限りは積極的に選ぶべきではありません。

この点、写真についてはノイズや期限切れの描写を作品作りに活かすという分野もありえます(サークル「なんだかだるい」さんの『NO SELF CONTROL』はノイズを活かした誌面作りになっています)が、これはちょっと上級コースでしょう。

適切に管理された状態で保管されたフジのnexia 200は十年落ちでも大きな問題を感じさせません。適切でないとしても一段、二段の露出補正でかなり対処できます。以下、K.I.Mさんからの追加情報です。

この情報はフィルムの保管情報によって大きく左右されるものであることはお断りしなければなりませんが、このリストの範囲のフジ製フィルムであれば「まず撮ってみたい」「試してみたい」という用途なら実用になると考えてかまいません。

また、露出補正ができない機種でアンダーになったとしても、現在の一般的なパソコン・スマホであれば、現像後のスキャン画像を補正することである程度実用範囲を広げることもできます。このあたりは時が味方してくれるようになった数少ない例、といえるかもしれません。

こちらはカズさんとK.I.Mさんによる海外製のFnac(期限表記なし)によるものですが、きちんとした保管を謳うものでもなかなか厳しい写りです。(これを表現としてあえて狙うという技も、前述のようにありはします)

これはどこかでまとめないといけないなと思い当たりましたが、自動化の進んだAPSのコンパクトカメラ(というより自動化の進んだ当時のあるセグメント向けのフィルムコンパクト全般の傾向かもしれませんが)には一部を除いて露出補正の手段がない(そのものでなくともフィルム感度等で代用可能な機能も含めて)ものが多いのです。そのため、なるべく新しめのフィルムを使うのがおすすめと言うことになりますが、フィルムの入手についてどうしても限界がありますので、とりあえず試すのであったら出てきた画像を楽しむぐらいの方がかえって面白い結果と出会える(それはAPSフィルムの本来のパフォーマンスではないでしょうけれども)のではないかと思います。

以下は私の試写です。nexia400によるものが中心ですが、私の用途では充分に写っていると言っていいと思いますが、皆さんはいかが思われますか?

 

4.現像の対応状況とスキャンデータ(フジフォトCD)利用のすすめ

さて、そんな2011年に生産終了したAPS(IX240)フィルムに興味が沸いたところで、一体現像をどうしたらよいの?という疑問があると思いますが、実はたいていのDPEではまだAPSフィルムの現像ができます上記の撮影もすべて地元のDPEに持ち込んだものです。

実は、いまDPEに入っているフジフィルムの現像・プリント機器(デジタルミニラボシステム)であるところのフロンティアシリーズは、APSのころから更新されていません。フィルムの衰退ぶりというか、そもそもAPS規格の登場についての生臭い話になってきますが、そのあたりは触れないことにして、おかげさまでいまでも35㎜フィルムを注文するのとまったく同じ感覚でAPSフィルムの現像やスキャンを依頼することができます

ただ、お店によってはAPSの現像に必要な機器を処分している場合もあるのでそのときは別のラボに転送されることになり、ちょっと時間がかかるかもしれません(店舗で現像していない場合のモノクロや120フィルムと一緒です)。

現像、プリントとも料金は135判と変わらない場合が大半だと思います。おそらく現像が600円前後、それとL版同時プリントで合わせて1800円ぐらいではないでしょうか。サービスデーなどでもっと安い場合ものあるでしょう。

また、現像の際お使いの方も多いと思いますが、「フジカラーCD」といってフィルムをスキャンしたデジタルデータをCDに焼いてもらえるサービスにたいていのお店は対応してるはずです。

フジカラーCD | 写真のネットプリントサービスなら【富士フイルム】

そして最近はお店独自にその写真データをお持ちのスマホ等のデジタルデバイスに転送してくれるサービスを行っている場合もあります。SNSへの投稿を考えれば一番使いやすい方法です。

APSフィルムのスキャンについては項を改めたいと思いますが、個人で行うには少々ハードルが高くなりつつあります。

国内のメーカーが出していたフィルムスキャナーにはAPS用のアダプタをオプションで使用できるものがありましたが、現在では全て製造終了しています。そのため中古の流通を探すしかありませんが、とくに後期の製品について上級機ほど高騰している現状があります。

また、ドライバーのアップデートが行われていないことから、現在のWindows 10やMac OSで使用することは難しくなっており、互換ドライバの使用や設定ファイルの書き換え、またはスタンドアローンでの専用環境の構築など、一定以上のスキルがないと利用することが難しい状況です。

また35mmや中判フィルムのスキャンついては海外製品ではまだ専用機が更新されており、よほどAPSでの撮影に本腰を入れない限りは個人でのスキャンは手を出さなくてよい領域です。

ちょっと余談になりますが、少し前に「フジのフォトCDのデータサイズが小さすぎておかしい!」というコメントが流れてきたことがあります。

たしかにフジのフォトCDは決して高解像度ではありません。もちろん製品が更新されていないから低解像度なのだというのは言えますが、しかし、ずっと写真と付き合ってきたフジという大メーカーのノウハウの蓄積はもっと素直に頼ってよいものです。それで充分市井のセミプロやハイアマの要求に応えて来たという事実をまずは信頼していいのではないでしょうか。

私たちはすでに画素数だけがてんこ盛りで実際はノイズの嵐で酷い画質のコンパクトデジタル末期の悪夢で十分に思い知らされたはずです。フォトCDのデータを元に、家庭用プリンタで適切に設定して出力したとき、え、こんなに引き延ばせるの?!とびっくりすることになると思いますよ。

前掲の写真は全てフジのフォトCDにしてもらったデータを縮小したものです。

 

まとめ

ざっくりしたまとめです。APSのなにがAdvanceであったのかとかそのあたりはまた別の機会に何とかするとして、とりあえず2017年8月現在に興味を持たれた皆様が挑戦してみようと思われたときに少しでも参考になれば幸いです。

 

2017.08.13 公開

2017.08.14 追記 (機種・現像・スキャナの対応など)

2017.08.14 追記 (フィルムの期限・撮影結果など)

ドフジャンク棚にみる普及帯コンパクト史 備忘録

最近は(全盛期に比べれば誤差の範囲とはいえ)多少なりともフィルムカメラでの撮影が盛り上がっているようで、なかでもこれまでほとんど見向きされてこなかった普及帯のプラ製コンパクトカメラが評価されているらしいのが面白いところです。

残念ながら地方在住だとそのあたりのコンパクト機にはほとんど動きがありませんが、一部実用一眼レフ(Nikon FEなど)に相場の上昇が見られるので多少なりとも盛り上がりは伝わってきているようです。

さて、巡回している近隣市町村のハード○フでも銀塩コンパクトの、それも普及帯のプラカメは投げ売りでもほとんど動きがないままですが、ジャンク棚を定点観測しているとここ50年ぐらいの普及帯コンパクトの発展史と各家庭での受容史がなんとなく浮かび上がって来なくもないので、ちょっとした整理を。

あくまで巡回しているハードオフのジャンク棚で実際に見かけた機種基準です。(一部そうでないのもあります。特に90年代後半になってくるとデジカメへの移行が始まるのでこの時期の銀塩カメラはあまりジャンク棚に登場しません。そのかわり、初期のデジカメが大量に並んでいるわけです)

(2017/07/24版)

1.ノブ巻上+目測またはRF + 単焦点+金属製

2.ノブ→レバー(親指)巻上
3.自動露出(AE)

  • OLYMPUS AUTO-EYE(1960)
  • Canonet QL 17(1965)
  • Yashica ELECTRO 35(1966)

4. フラッシュ内蔵+この辺でプラ素材導入開始

5.カプセル型のレンズバリア機登場

6.自動合焦(AF)

7.自動巻上げ(オートワインダー)内蔵

  • Canon AF35M (オートボーイ)(1979)
  • Yashica AUTO FOCUS MOTOR(1981)

8.日付同時写し込み機構搭載

  • Canon Autoboy2 QD(1983)

9.複数焦点(標準/望遠)レンズ搭載

  • Canon Autoboy TELE QD(1986)

10.標準ズーム(2倍程度/パワーズーム)レンズ搭載

  • Canon Autoboy TELE QD(1986)

11.このあたりでレンズ銘とF値がレンズ周りから消滅

 ( ブリッジカメラ登場 → 別の世界線へ )

 (「写ルンです」登場(1986) → 別項へ)

12.簡易パノラマ撮影モード搭載機登場

13.撮影モード搭載機登場

 ( APS機登場 → 別項へ)

 ( 高級コンパクト機登場 → 別の世界線へ)

 14.超望遠ズームレンズ搭載機登場

一般家庭へのコンパクト受容史を考えると本当は110カメラ、ハーフサイズカメラとディスクカメラあたりも目を配らないといけないですが、あくまで地方のハードオフジャンク棚で取ったメモってことでご容赦ください。(その割にAPSは入っているじゃないかと言われるとあれですが...)

ちょっと腰を据えてコンパクト史をまとめようとしても、現状ではなかなか資料が難しいのです。OEM関係とかになると完全にお手上げです。

これらの機種については次のサイト以上にまとまった資料は有りませんのでご紹介しておきます。

penguin-19's COMPACT CAMERA

コンパクトカメラ専門ページ penguin-19's COMPACT CAMERA

 

都市伝説の結末 / OM(AF)マウントレンズのOM(MF)機への装着について

さて昨晩、銀塩AFカメラについてそれなりに有名な都市伝説がデマであると確定したのでまとめておきたいと思います。

起点は佐藤さん(@sigeosato  )のこの発言。

このOMAF用レンズをMF機に付けると外れない」というネタ、今日現在(2017/07/20)で、Wikipedia(ja)のOLYMPUS OMシリーズの項にも記述があります。

オリンパスOMシステム - Wikipedia

現在はマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼(OM-D)として展開しているOLYMPUSのOMシリーズですが、元々銀塩MF一眼レフの名機として著名で、特に一桁機は今でも人気が高いのは言うまでもないことでしょう。

銀塩OM一桁機については「プリズムがモルトの浸食を受けて劣化する」というのがよく知られた持病としてあり、これは事実です。またその解決策として、同じOMシリーズではあるものの一桁機より人気が薄く安価な二桁機であるOM10からプリズムを移植するという手が紹介されていたりしますが、ジャンクからならともかく実働個体からプリズムを抜き取るのには嫌悪を示すユーザーも多いので、注意が必要でしょう。

さて、この銀塩MFカメラの歴史に燦然と輝くOMシリーズですが、AF時代に突入したときにOM707という機種を登場させています。このOM707は新マウントではなくOMマウントのままでAF化を果たしていますが、このとき一つの変更をしたことがよく知られていて、それが今回の都市伝説の勘所です。

実はMF機のOMシリーズではレンズ取り外し用のボタンがレンズ後部にあるというのが一つの特徴となっていますが、マウントをAF対応させる際、このレンズ取り外し用ボタンを他メーカーの機種でも一般的なボディのマウント側面に移動しています。その結果、OM707とともに登場したAF対応のOMレンズからはMF機のようなレンズ取り外しボタンはなくなっています。

その結果、以下のような論理展開が成立します。

  • OMAFレンズをOMAF機(OM707)につけると、当然ボディ側取り外しボタンで取り外せる
  • OMMFレンズをOMAF機につけても、レンズ側の取り外し機構で取り外すせる
  • そして、OMAFレンズをOMMF機につけると、レンズ取り外し機構がない!つまり取り外しできなくなってしまう!

もっともらしい話ではあります。ですが、実はこんな問題に直面する例は他にいくらでもあり、メーカーが想定していないはずがない話なのです。例えば佐藤さんのこの発言に集約されるように。

 TLに実際にOM三桁機を使われているフリスク( @FRlSK1  )さんと日本光学くん( @mouko281985  )さんの反証が上がってきました。

もう充分でしょう。

この都市伝説は結構有名で、いま確認する余裕はないですがひょっとしたらなんらかの活字化もされていたかもしれないぐらい広まっています。こんな実機をちょっと確認すればわかる話がなぜここまで人口に膾炙することになってしまったのかと言えば、またフリスクさんの発言で申し訳ないですが、一つにはこういうことがいえるでしょう。

そう、OMAF機は今"希少"なのです。ですが、売れなかったか...と言えばそんなことはないはずです。メーカーが期待したほどであるかどうかは別として流通している中古の数を見ればそれなりに売れたのだろうというのは分かります。少なくともSIGMAのSAマウント機よりはよほど手に入れやすいでしょう。

希少だからこんなデマがはびこったのか?もう一歩踏み込む必要があると考えます。つまりはこういうことです。

嗤う」という言葉が重いです。そう、OM三桁機(AF機のOM707とパワーフォーカス機のOM101)は失敗作であるという評価が定着しています。

傑作機とされるMF機OMシリーズに対して、AF化の波に乗り遅れた中途半端な駄作機として世に出、栄光あるOMシリーズの命脈を絶った不肖の子、見れば栄光の"クラシックカメラ"の殿堂入りしたMF機の金属カメラとしての質感と重厚さに比べて、なんと三桁機の安っぽいプラカメぶりよ...自分で書いていて気が重くなりますが、AF機のOMシリーズについてこれくらいのことは思われているだろうという印象があります。

「定番ネタ」という言葉が示すように、この"失敗作"のイメージに対してこの都市伝説はあまりにピッタリはまりすぎていたのでしょう。本当かどうかではなく、"イメージぴったり"だったことがこの伝説を支えたのではないかと思われます。

実際、サードパーティのOMAFレンズをMF機につけた場合はついてしまうことがあるようで、その場合は本当に分解しなければ取り外せない可能性があり、それがこの都市伝説の萌芽である可能性はなきにしもあらずです。しかし、それは間違いなく保証外の行為であって、サードパーティにもメーカーにも責任はないことです。

OM三桁機が本当に"失敗作"だったのか。市場は当時評価しなかったにしろ、今の視点からとらえ返せばまた別の視点から評価されるところが無いか。そもそも、本当に使えないのか。OMのAF機に高まった当時の期待とメーカーの出してきたものとの落差はあったのかもしれませんが、今のユーザーがそれにとらわれる必要も無いでしょう。

実際に使われている道具は常に美しいと思います。私の手元にもOM101のボディはあるのですが、OMAFレンズが手に入らないまま何年塩漬けにしてしまっていることやら(汗)

1960-70年代のプロダクトデザインが再評価されているように、そろそろ80年代のデザインが再評価される時が来ないかと思っているのです。

最近、それが全盛期に比すれば誤差の範囲とはいえフィルムカメラが盛り上がっている様子があり、しかも、ごく一般的な普及帯コンパクトカメラだ!という面白さのある現在、普及帯プラ製AF一眼レフを積極的に推し進める当ブログとしても、過去の情報の焼き直しだけではなく、改めて2017年現在の情報として記事を書いていきたいと、気を引き締めた次第なのでした。

ま、次の更新がいつになるかは神のみぞ知る、というところなのですが...(汗)

私が愛用しているFed / Zorkiなどもそうなんですが、やはり色々デマがあります。これはカメラに限らず車やバイク等でもそうでしょうが、つまりはなにがしかの"伝説"が生まれる余地のあるジャンルはすべからくそういうものなのかも知れませんね。

オリンパスPEN&OMのすべて (Gakken Camera Mook)

オリンパスPEN&OMのすべて (Gakken Camera Mook)

 

 

MINOLTA α Sweetの分解(破壊)

これまで二桁のα Sweet系列ジャンクを処分してきましたが、偶然捨て忘れたSweet初代が転がり出てきたので分解に挑戦してみることにしました。ジャンクの理由は定番のファインダーの黄変です。まだそこまでひどくはなく、端っこに黄色のにじみが出てきたぐらいですが他に良品は多数確保しているので処分となった個体です。あわよくば簡単な掃除法などが分かればいいなぁという目論見もあったのですが、そんなに都合よくはいきませんでした。

マウントから分解してきます。


口金の奥にスペーサ的なものが三枚あるのがFedやZorkiを思い起こさせたり。レフレックスミラーの反射を通してダハミラーの黄変がはっきり確認されます。

今考えるとこの時点でもファインダーからのぞいたのと比較してはるかに黄変が酷いということが確認できることに気づかされます。


一番確認したいのはダハミラーの黄変具合の実際のところなので、接眼レンズ側からのアプローチも試みますが、こちらは早々にあきらめます。

表やフラッシュ周辺のネジを外しまくったところで…まさかフロントカバーと右グリップが別パーツとは思わずドッキリ。


フロントカバーが外れた時点でレンズ着脱スイッチはグラグラで振ったらバネごと落ちます。

左側面の裏ぶた固定のパーツも脱落。

軍艦部カバーがなかなか外れず悩んだところ電池ボックス奥のネジがポイントでした。

機械式カメラでも巻き上げレバーや巻き戻しクランクから解体していくというのは定番です。これで軍艦部が外れまして、ここで非破壊分解をあきらめました(笑)



この何層にもなったフレキを半田で外していく自信は欠片もありません。サービスマニュアルがあっても無理です。両手を合わせてしばし瞑目したのち、ガシガシ千切っていきますが、かなりしっかり接着してあって、下手なAE機よりもこの辺りは丁寧に作っているような印象を受けます。

この時点でだいぶ内部に光が入ってきまして、ミラーに映りこんだファインダ黄変がよりはっきり確認できるようになってきます。


破壊に舵を切ったので、ファインダ周辺を確認できれば良いと方針を縮小します。ざっとこんな感じに解体し、ペンタミラーを取り出します。



ファインダ回りはこんな感じ。

ううむ、接眼レンズ側からアプローチするのもマウント側からアプローチするのも難しい印象です。後者だと疑似パノラマ撮影機構が邪魔をします。が、このあたりはもう一、二台狙いを定めて分解すると行けるかもしれません。

ペンタダハミラー周辺部分ですが酷い黄変とともに青変も併発していました。綿棒で掃除してみましたが少しの掃除でごまかせるようなクスミや変色ではありません。マウント金具側からアプローチできたとしても対処は難しく思われます。




最初に触れたようにファインダからはここまで酷くは黄変が現れていない状態なので、ファインダに黄/青変が現れた時点では実はかなり進行しているのかもしれないという恐ろしい仮説が導き出されます。ファインダー像に黄変/青変が現れていなくともマウント側からレフレックスミラーに写してみると、実はダハミラーの酸化が確認できる個体も多いのかもしれません。かといってなにも取りうる手段はないのですが。

(今日の結論)
Sweet系に代表されるαダハミラー機のファインダー変色という問題は、ファインダー像内にそれが現れた時点で実はミラー周辺部の酸化=変色は相当進んだ状態で個人での対処は難しく、選択肢としては我慢して使う、またはケンコー・トキナーで正規のサポートを受けるのどちらかであるということになります。

なお、二年ほど前にケンコー・トキナーの正規サポートでα Sweet IIのファインダーを交換していただいたときは確か一万円くらいだったはずです。このときはパノラマ機構の不調も合わせて調整していただいたので単体ならまだ安いかもしれません。ただ、電装系がおかしかった別のα Sweet IIのサポートをお願いしたときにもうかがったのですが、αシリーズの各種補修部品は払底しているものもあるようです。

ただ、取り出したペンタダハミラーをのぞき込むと、周辺部の変色はともかく下手なペンタプリズムより美しく明るい反射で、ミノルタの意気込みを感じさせられました。きっとその素材の選択基準がこの褪色と表裏となっているだろうことは想像に難くありません。

まぁ、そういう"振り切ってしまう"会社だったのでしょうね、きっと。

入門機クラス銀塩AF一眼レフシリーズのお勧め度の比較 その3「PENTAX MZ(二桁)シリーズ」


PENTAX MZ-50 + PENTAX-F 4-5.6/35-80 + KODAK ULTRAMAX400

こんな感じでやってます

この記事を書くに当たっての基本姿勢についてはこちらをご覧ください。
また、「いまからフィルムで撮ってみたいという人にEOS Kiss シリーズ(具体的にはIII / III L)をお勧めする5の理由」もご一読いただければ。

入門機クラス銀塩AF一眼レフシリーズのお勧め度の比較

裏タイトル「EOS Kissシリーズ以外が初心者にお勧めでないちょっとした理由」の最終回です。各社の登場順は私が巡回しているハードオフや委託販売を行っているDPEでの目撃数によります。というわけでこの記事での3番手、お勧めのEOS Kissから数えれば4番手はPENTAX MZシリーズです。

MZシリーズのおすすめ具合

さて、最終グループのPENTAX MZ(二桁)シリーズですが、結論から先に言います。「絶対におすすめしないよ!!さぁ使ってみようよ!」。うう、どう頑張ってもこんな矛盾した感想になるんですよね。

(状態が)危険なPENTAX AF一眼レフ

あくまで「デジタル一眼レフの経験はあり、今から35mmフィルムでの撮影を始めてみたいという初心の方向け」という視点での話、というのを念頭に置いていただきますと、シリーズ初代のMZ-5無印の登場から20年が経っておりまして、ミノルタαシリーズと同じくMZシリーズも経年劣化という大砲の直撃を喰らっています

プラ製AF一眼レフでは(というかデジタル一眼レフでもいずれ)避けては通れない問題であるゴム素材の加水分解(ボディがベタベタになる奴です)からは免れているものの、α-Sweetの宿痾がペンタダハミラーの酸化による変色なら、MZシリーズの宿痾はミラーとフラッシュを制御するプラ製ギアそれぞれの劣化による破損です。特にミラーアップの方はMZシリーズだけでなくて、ペンタックスにおいてはMF時代から続く問題です。

そんなわけで、MZシリーズに限らずPENTAXのプラ製AF一眼レフのジャンク棚物件については、初心者はまず「回避」を推奨します。

一見まともに見えるものでも、持ち帰って電池を入れて、ワクワクしてシャッターを切ったその瞬間に「バコッ」だの「ガコッ」だのと形容しがたい怪音を残してミラーアップし、昇天したのは私の手元だけでも一台や二台ではないのです(涙)。

もちろん、これは発売時点からそうであったという訳ではなく、そこから10年以上経ってメーカー保証もとっくに切れた現在だからこそ顕在化した「問題」です。2016年の現在まで使い続けられていることをメーカーは想定していないし、メーカーの責任ではない括弧付きの「問題」であることを肝に銘じておく必要のあることは繰り返し強調しておきます

そんなわけでざっくりMZ(2桁機)シリーズのお勧め度をまとめておきます。

3番手 PENTAX MZ(2桁機)シリーズのお勧め度
  悪くないファインダー
  MF機を彷彿とさせるハンドリング
  操作性がシリーズ内でまちまち
 × 弾数少か極少
 × 価格やや高め
 × 格安レンズ少ない
 ×× バージョン違いの多いKマウント
 ×× ミラーアップ・フラッシュ不良個体多数

ジャンクコーナーのペンタックス機には「絶対に」手を出すべきではありませんが、MZシリーズ自体は良いカメラで、MF時代のペンタックス機を思い起こさせるコンパクトかつシンプルなハンドリングで、非常にリズムの良い撮影体験をもたらしてくれるのは確かなので、興味のある向きは保証付きの専門店で実機を手にとって選ぶのをお勧めします

余談 その1 ふしぎなMZシリーズ

ここからは余談。

そんなMZシリーズですがそもそもジャンク棚ではあまり見かけないし、その結果として決して安くありません。対照的にジャンクコーナーを埋め尽くしているKissシリーズと比べて、現役当時は肩を並べるくらいに売れていたという記述を読んだこともあるのですが、その実、単体のムックなどはどうやら発行されておらず、MZシリーズがどんな層にどのように届いていたのか、今となってはなかなか見えづらいものがあります。

売れに売れてPENTAXに我が世の春をもたらし、645や67機を開発する原資になったという記述も目にしたこともあるのですが、眉唾なのでしょうか?

またCanon Kiss、MINOLTA α Sweet、Nikon Uと、それぞれの普及機・入門機としてのシリーズの性格付けは明確で(もちろんそのスペックはとても普及機というものではなく時に中級機にさえ凌ぐものでしたが)、まず届けたいのはファミリー層であるというメーカーの意志はそのネーミングからも明確であったのに対して、MZシリーズはそのあたりがどうもはっきりしないというわかりにくさがあるのです。

そもそも最初のMZ-5(1995)は「中級機」です。それ以前の自動化を進めたZシリーズの方向を転換してもう一度シャッター速度や露出補正をダイヤルで設定するクラシックな操作性を、MF時代のPENTAX機を彷彿とさせるコンパクトなボディに実現しています。当時、ミノルタの自動化を極北まで進めていたxiシリーズが商業的に失敗し、第四世代のsiシリーズに転換したことが支持を集めていたというのもあるのでしょうし、実際PENTAXの転換は支持を集めた(らしい)わけです。


そのあと廉価機のMZ-10(1996)に、そらにその廉価機のMZ-50(1997)といった2桁のナンバリングのMZシリーズが出ます。Kissモードダイヤルに相当する(オート)ピクチャープログラムを採用した辺り、またペンタミラーの採用やエンジニアリングプラスチックのマウントなど、この2桁機こそが他社の普及機にぶつけようとしたクラスなのは間違いないでしょう。

次のMZ-3(1997)は再び一桁の中級機で、ダイヤルによる操作性などMZ-5のブラッシュアップ版。ここまでは分かり易くて良いのです。あ、ちなみにキチンとした保証付きで3,000円くらいまで手に入るなら、いずれMFやマニュアルでの撮影に進んでいくうえで、このMZ-3を一番お勧めします。なお、Wikipediaには堂々と"CONTAX Aria(1998)のベース"と書かれていますが、ガセですね(そういう噂があったのは事実のようですが)。

ところが、次のMZ-7(1999)は1桁のナンバリングで位置づけとしては中級機なのですが、系譜としてはMZ-10からの進化版です。もちろん中級機でもよりマニュアルな操作性を採用した3,5とモードダイヤルを採用し、よりプログラムオート寄りのチューニングがなされた7はキッチリ棲み分けがされていると言えなくはありません。が、3,5,7のナンバリングに意味を見いだすのには少々難しさを感じるところ。

そして、そのMZ-7をベースにして進化と言うべきか退化と言うべきか、再度、普及機のMZ-30(2000)が登場します。10→50(→7)→30と、ナンバリングが巻き戻っています…このあたり、私にはどうも理解できないでいます。いや、これで50よりスペックが上というなら30も分からなくはないのですが、決してそうとばかりも言えないし、中級機の3→5(5N)→7と関係性が見いだせないし、それ以前のZシリーズとパラレルな訳でもなし。

ちょうどZシリーズに触れたところで、ここからさらに混沌度合いが加速していきまして(笑)、むしろ先代のZシリーズの系譜からハイパー操作系の血を引いた突然変異の"特別機"、MZ-S(2001)が登場して、いよいよMZシリーズの性格が何でもありになったと思ったらMZ-7の後継機はMZ-L(2001)を名乗って登場するといった次第です。

このLSSpecialかまたはSuperあたりから名付けられているのに対して、Limited(=限定版)あたりが元だと思っていたらなんと"LOVE"らしいのです。MZ-Sは確かにその他のMZシリーズとは別個のラインから登場してきたのだというのがデザインからも明白ですが、MZ-Lは思いっきりMZシリーズのデザインのラインにのっていまして、正直どこがLOVEなのか私にはまったく理解できません(教えてペンタキシアン!)。

こんな感じでZシリーズの"後を襲った"MZシリーズというよりは、MZシリーズというミクロコスモスのなかで改めて百花繚乱の進化の系統樹を生み出してしまっている様な印象があるのです

最後にはMZ-30というよりは50の更に廉価版、ミノルタでいえばα-360siのような、プログラムオート専用機MZ-60が出て終了です。*istは別シリーズと考えております(恐竜の子孫としての鳥、みたいな)。

余談 その2 ペンタックスというブランド


PENTAX MZ-50 + PENTAX-F 4-5.6/35-80 + KODAK ULTRAMAX400

そんな訳でMZシリーズは機種ごとの性格も明確に線引きされているとは言えませんし、途中でマウントの変更なんかもあっていることから、この機種まではこのレンズが使えるけれど、次のこの機種からはこのレンズは使えない!っていうのもあって初心者向けとしてはやっぱりオススメできないところではあります。まぁ、これはNikon Uあたりにもあてはまることですし、歴史のあるマウントの宿命かもしれませんが。

別の角度から見れば、すっきりと整理されないってことは、それぞれの機種のなかで諸要素が固有のバランスと魅力を持っているとも言えまして、なんというか私はペンタックスに詳しくないのですけれども、スゴく泥臭いイメージというか、あまりクレバーでは無く色んなアイディアを試してはそれを成熟させる前に他に飛びついて言ってしまう様な、ある意味ではアイディアに溢れた職人集団が嬉々として開発にいそしんでいるようなイメージを持っています(この辺り、様々なアイディア・デザインを一機種ごとに使い捨てにしていったコンデジOptioシリーズのイメージが還流しているかも知れません)。

なお、忘れてましたが1997年にはMF専用機のMZ-Mが出ています。実はMFからAFへの過渡期にはCanonのEF-M(1991)とかNikonのF-601M(1990)といったAF機をベースにしたMF専用機が出ていますが、1997年というAF全盛期に、これがうるさがたのマニア向けの高級仕様というならともかく、MZ-3(または5)から色んな機能を省きまくったあげくむしろ2桁機よりの質感になったという機種で、なぜこの時期に、どんなユーザーを念頭に置いて出してきたのかよく分からないのです。そういうところも、なにかこのメーカーの生き様のようなものを感じてしまうところなのです。


PENTAX MZ-50 + PENTAX-F 4-5.6/35-80 + KODAK ULTRAMAX400

おまけ

CAPA編集部さんペンタックス一眼レフのすべて (Gakken Camera Mook)』の出版を熱望します!もう少し客層を広げるなら『Kマウント一眼レフのすべて』もありかと!